関連省令/告示

廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針

平成13年5月
環境省告示第34号

改正 平成17年5月26日 環境省告示第 43 号
改正 平成22年12月20日 環境省告示第130 号

一 廃棄物の減量その他その適正な処理の基本的な方向
 これまで我が国では、廃棄物の適正な処理を確保し、循環型社会を形成していくため、数次にわたる廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)の改正及びリサイクルの推進に係る諸法の制定等の対策が行われてきた。このような対策は、相当程度の効果はあったものの、今なお廃棄物の排出量は高水準で推移しており、最終処分場の新規立地難は解消されておらず、また、不法投棄を始めとする不適正処理については、改善傾向が見られるものの、未だ撲滅には至っていない。
加えて、近年、世界的な資源制約の顕在化など、廃棄物処理・リサイクルを取り巻く状況は大きく変化しており、また、地球温暖化を始めとする地球環境問題への対応も急務となっている。
 このような周辺状況の変化に対応し、諸課題の解決を図るべく、循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110 号。以下「基本法」という。)及び第二次循環型社会形成推進基本計画に沿って、廃棄物処理法やリサイクルの推進に係る諸法等に基づく制度の適切な実施と相まって、改めて大量生産、大量消費、大量廃棄型の従来の社会の在り方や国民のライフスタイルを見直し、社会における物質循環を確保することにより、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減される、循環型社会への転換を、さらに進めていく必要がある。その際、今日、地球温暖化対策の実施が喫緊の課題であることを踏まえ、低炭素社会との統合の観点にも配慮して取組を進めていく必要があり、そうすることで、廃棄物をめぐる問題への対応は、環境と経済成長とが両立する社会づくりにより一層つながるものとなる。
 こうした考え方を踏まえ、廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策においては、基本法に定められた基本原則に則り、まず、できる限り廃棄物の排出を抑制し、次に、廃棄物となったものについては不適正処理の防止その他の環境への負荷の低減に配慮しつつ、再使用、再生利用、熱回収の順にできる限り循環的な利用(再使用、再生利用及び熱回収をいう。以下「適正な循環的利用」という。)を行い、こうした排出抑制及び適正な循環的利用を徹底した上で、なお適正な循環的利用が行われないものについては、適正な処分を確保することを基本とする。
二 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する目標の設定に関する事項
1 廃棄物の排出量、再生利用量、中間処理量、最終処分量その他その処理の現状

 現状(平成19年度)における我が国の廃棄物の排出量、再生利用量、中間処理による減量及び最終処分量(埋立処分及び海洋投入処分の量をいう。以下同じ。)は次のとおりである。

(単位:百万トン/年)

一般廃棄物 排出量 51
再生利用量 10.3
中間処理による減量 34
最終処分量 6.4
産業廃棄物 排出量 419
再生利用量  219
中間処理による減量 180
最終処分量 20

(注)小数点以下の数字を四捨五入しているため、合計が合わない場合がある。

2 廃棄物の減量化の目標量
 廃棄物の減量化の目標量については、第二次循環型社会形成推進基本計画に掲げられた目標等を踏まえ、当面、平成27年度を目標年度として進めていくものとする。
なお、この目標量については、その達成状況や社会経済情勢の変化等を踏まえて、適宜見直しを実施するものとする。
(1) 一般廃棄物の減量化の目標量
 一般廃棄物については、現状(平成19年度)に対し、平成27年度において、排出量を約5% 削減し、再生利用量を約20%から約25%に増加させるとともに、最終処分量を約22%削減する。
(2) 産業廃棄物の減量化の目標量
 産業廃棄物については、現状(平成19年度)に対し、平成27年度において、排出量の増加を約1%に抑制し、再生利用量を約52%から約53%に増加させるとともに、最終処分量を約12%削減する。
三 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策を推進するための基本的事項
1 施策の基本的枠組み
 廃棄物の排出を抑制し、適正な循環的利用を促進するためには、国民、事業者、国及び地方公共団体が適切な役割分担の下でそれぞれが積極的な取組を図ることが重要である。このため、基本法、廃棄物処理法、資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112 号。以下「容器包装リサイクル法」という。)、特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号)、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100 号)、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104 号)、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116 号)、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)、使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成14年法律第87号)等の法制度に基づく施策について、国民、事業者、国及び地方公共団体の適切な役割分担により、円滑な実施を図るものとする。

2 国民、事業者、地方公共団体及び国の役割
(1) 国民の役割
 国民は、商品の購入に当たっては、容器包装廃棄物の排出の少ない商品、繰り返し使用できる商品、耐久性に優れた商品及び再生品の選択に努めるとともに、商品の使用に当たっては、故障時の修理の励行等によりなるべく長期間使用することに努め、自ら排出する一般廃棄物の排出抑制に取り組むものとする。また、国民は、一般廃棄物の排出に当たっては、市町村が設定する分別区分に応じて分別排出を行うことにより、市町村による適正な循環的利用に対する取組に協力するとともに、廃家電製品の小売業者等への引渡し及びその求めに応じた料金の支払い、建築物等の解体工事に要する費用の支払い、自動車に係るリサイクル料金の預託、使用済自動車の引取業者への引渡し等により事業者が法律に基づいて行う措置に協力するものとする。
(2) 事業者の役割
 事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないことから、原材料の選択や製造工程を工夫する等により、自ら排出する廃棄物の排出抑制に努めるとともに、廃棄物処理法に基づく許可や再生利用認定等を受けて自ら排出する廃棄物の再生利用等による減量を行うことや、自ら排出する廃棄物について再生利用等による減量を行うことができる廃棄物処理業者へ処理を委託すること等により、その廃棄物の適正な循環的利用に努めるものとし、その上で、処分しなければならない廃棄物について、適正な処理を確保しなければならないものとする。この場合において、自ら排出する廃棄物の処理を廃棄物処理業者へ委託するときは、適正な対価を負担するとともに、優良な廃棄物処理業者を選択することにより、廃棄物の不適正な処理が行われるリスクを低減することが重要である。また、事業者は、物の製造、加工、販売等に際して、その製品や容器等が廃棄物となった場合に排出抑制、適正な循環的利用及び処分が円滑に実施できるよう、容器包装の簡素化、繰り返し使用できる商品及び耐久性に優れた商品の製造又は販売、修繕体制の整備、建物の長寿命化、適正な処理が困難とならない商品の製造又は販売、必要な情報の提供等に努めなければならないものとする。
 さらに、事業者の役割が循環型社会の形成を推進する上で重要であると認められるものについては、自らが製造等を行った製品や容器等が廃棄物となったものについて、極力これらを自主的に引き取り、循環的な利用を推進するよう努めるものとする。
(3) 地方公共団体の役割
 市町村は、その区域内における一般廃棄物の排出抑制に関し、適切に普及啓発や情報提供、環境教育等を行うことにより住民の自主的な取組を促進するとともに、分別収集の推進及び一般廃棄物の再生利用により、一般廃棄物の適正な循環的利用に努めるものとし、その上で、処分しなければならない一般廃棄物について、適正な中間処理及び最終処分を確保するものとする。一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たっては、適正な循環的利用や適正処分を進める上での必要性を踏まえ、他の市町村との連携等による広域的な取組を図るものとする。また、一般廃棄物の処理に関する事業に係るコストの分析及び情報提供を行い、分析の結果を様々な角度から検討するほか、必要に応じてPFI(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117 号)第2条第2項に規定する特定事業をいう。)の活用を行うことにより、社会経済的に効率的な事業となるよう努めるものとする。さらに、経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再使用、再生利用の推進、排出量に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物処理の有料化の推進を図るべきである。なお、分別収集区分や処理方法といった一般廃棄物処理システムの変更や新規導入を図る際には、変更や新規導入の必要性と環境負荷面、経済面等に係る利点を、住民や事業者に対して明確に説明するよう努めるものとする。
 また、美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律(平成21年法律第82号)の趣旨を踏まえ、市町村は、海岸漂着物等の処理に関し、必要に応じ、海岸管理者等に協力するものとする。
 都道府県は、一般廃棄物の処理に関する市町村の責務が十分果たされるように必要な技術的助言を与えるよう努めるものとする。また、その区域内における産業廃棄物の排出抑制及び適正な循環的利用を促進し、例えば、産業廃棄物の処理に関する知見を有する者の協力を得つつ、産業廃棄物の発生抑制、減量等について、とりわけ中小零細の排出事業者に対し個別具体的な助言、提案等を行うよう努めるものとする。また、産業廃棄物の適正な処分が確保されるよう事業者に対して必要な指導監督を実施し、厳格に法を執行していくものとする。さらに、事業者の責任において適正に処理しなければならないという原則に沿って、民間による処理体制の確保を基本としつつ、必要な処理能力を確保するため、廃棄物処理センター等の公共関与により、産業廃棄物処理施設を整備することも検討する。
(4) 国の役割
 国は、国民及び事業者の自主的な取組を促進し、また、地方公共団体によるそれらのための取組を支援し、関係主体の連携・協働の促進を図るとともに、先進的な事例に関する情報提供等により普及啓発に努めるものとする。
 また、生活環境保全上支障のない確実な再生利用について廃棄物処理法に基づく処理業及び処理施設の設置の許可を不要とする特例措置や、製造事業者等による広域的な廃棄物の適正な処理について廃棄物処理法に基づく処理業の許可を不要とする特例措置、人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある廃棄物の高度な技術を用いた無害化処理について廃棄物処理法に基づく処理業及び処理施設の設置の許可を不要とする特例制度(以下「無害化処理認定制度」という。)の円滑な運用を図る。
 また、市町村及び都道府県が行う、その区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理の確保のための取組が円滑に実施できるよう、「一般廃棄物会計基準」、「一般廃棄物処理有料化の手引き」及び「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」の更なる普及等を通じ、技術的及び財政的な支援に努めるとともに、広域的な見地からの調整を行うことに努めるものとする。
 さらに、産業廃棄物に関しては、緊急の必要がある場合には、報告徴収、立入検査及び都道府県に対する必要な指示を行い、関係都道府県と一体となって課題の解決を図るものとする。また、産業廃棄物処理業全体の詳細な実態について定量的に把握し、それを踏まえて、状況に即した適切かつ効果的な施策を更に進めていくものとする。
 ポリ塩化ビフェニル廃棄物について、地方公共団体と連携しつつ、日本環境安全事業株式会社を活用した拠点的広域処理施設の整備及びポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金の造成により、確実かつ適正な処理を進めていくものとする。併せて、微量ポリ塩化ビフェニル汚染廃電気機器等について、無害化処理認定制度の活用等により、安全かつ効率的な処理を進めていくものとする。
 地球温暖化への懸念の中、循環型社会と低炭素社会を統合的に実現するため、コベネフィット型技術の研究開発や、廃棄物の再使用・再生利用の推進、廃棄物焼却処分時の熱回収の促進等の取組を更に進めていくものとする。
 また、世界的な資源制約の顕在化を踏まえ、廃棄物の適正な処理の観点のみならず資源確保の観点にも視野を広げて、廃棄物の再生利用を推進していくことが重要である。
3 廃棄物の適正な処理を確保するために必要な体制の確保
(1) 一般廃棄物の処理体制の確保
 一般廃棄物については、市町村が、その定める一般廃棄物処理計画に従って、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、運搬し、及び処分しなければならない。
 一般廃棄物処理計画の策定に当たっては、市町村は、循環型社会の実現のために必要な施策を踏まえたものとし、中長期的な一般廃棄物の発生量及び質の変化と整合の取れたものとすることが必要であり、一般廃棄物の発生量及び質に即して適切な処理を行うことができる体制を整備することが必要である。
 また、収集に関しては、処分及び再生利用の方法に配慮し、一般廃棄物の種類に応じて分別収集する等、適切な収集を行うことが可能な体制を確保するものとする。
 さらに、運搬に関しては、当該市町村の地勢及び人口分布に応じて効率的な運搬が行えるよう、運搬車の配車体制を整備するものとし、必要に応じて、中継基地の配置による大型運搬車への積替え等を行うものとする。また、低公害車の導入やバイオ燃料の利用等を進める。
 また、処分に関しては、一般廃棄物の発生量及び質に応じて、焼却処理量、最終処分量、ダイオキシン類の発生量が抑制されるように配慮し、また、低炭素社会との統合の観点も踏まえ、再生利用、中間処理及び埋立処分等のうち最適の方法を選択するものとする。例えば、廃プラスチック類の取扱いについては、まず発生抑制を、次に再生利用を推進し、それでもなお残った廃プラスチック類については、最近の熱回収技術や排ガス処理技術の進展、最終処分場のひっ迫状況等を踏まえ、直接埋立ては行わず、一定以上の熱回収率を確保しつつ熱回収を行うことが適当である。
 一方、他の市町村との連携等による広域的な取組を行うに当たっては、必要に応じ、都道府県域を超えた広域化についても考慮することが適当である。
 また、一般廃棄物の処理に当たっては、排出者である住民及び事業者等の協力が不可欠であるので、排出者の理解が得られるよう、処理体制の十分な周知を図るものとする。一般廃棄物のうち特にし尿及び生活雑排水については、浄化槽及び下水道等の整備状況を勘案しつつ、その衛生的な処理を確保するため、処理体制の維持等を図ることが必要である。
 また、生ごみ、木くず、し尿処理汚泥、浄化槽汚泥等の廃棄物系バイオマスの利活用は、循環型社会の形成だけでなく、温室効果ガスの排出削減により地球温暖化対策にも資することから、飼料化、堆肥化、メタンガス化、BDF化等の処理方法の中から、これらを組み合わせることも含めて、再生品の品質や安全性の確保を前提としつつ、地域の特性に応じた適切な再生利用等を推進することが必要である。この際、廃棄物系バイオマスの利活用を効率的に行うことができるよう、分別・収集の効率化を図る。
 なお、当該市町村の区域内で処理できず、他の市町村の一般廃棄物処理施設において処理を行う場合等にあっては、当該他の市町村の一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めるとともに、都道府県においても、一般廃棄物の適正な処理に配慮して都道府県廃棄物処理計画を定めるよう努めることが必要である。
(2) 産業廃棄物の処理体制の確保
 産業廃棄物については、処理責任を有する事業者において、排出抑制及び適正な循環的利用を最大限に行った上で、必要となる産業廃棄物の焼却その他の中間処理及び埋立処分が適正に行われるようにしなければならない。
 特に、多量に産業廃棄物を生ずる事業者は、処理計画を策定し、産業廃棄物の排出抑制及び排出された産業廃棄物の適正な循環的利用に計画的に取り組まなければならない。
 また、事業者は、自らその産業廃棄物の処理を行う場合には、産業廃棄物保管基準、産業廃棄物処理基準等に従い、適正な処理を確保しなければならない。また、事業者は、その産業廃棄物の処理を他人に委託する場合は、その産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、その産業廃棄物の発生から最終処分(再生を含む。)が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならず、また、適正な委託契約の締結及び産業廃棄物管理票(マニフェスト)の使用により、産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われることを確保しなければならない。
 一方、都道府県は、産業廃棄物の適正な処理が確保されるよう、事業者、産業廃棄物処理業者及び産業廃棄物処理施設に対する指導監督に努めるものとする。
 また、産業廃棄物の発生量が大きく、都道府県の区域を超えて一体的に経済活動が行われている大都市圏においては、圏域内で必要な処理能力を確保するため、広域的な処理施設の整備を図ることも検討する。
(3) 廃棄物の不適正処理の防止
 廃棄物の処理は、その性状に応じた適切な方法により行わなければならない。特に、有害な性状により特別管理廃棄物とされた廃棄物については、人の健康や生活環境に支障を生じさせることがないよう、その性状に応じた適正な処理を確実に行わなければならず、事業者は、排出した特別管理廃棄物の処理を他人に委託する場合においては、他の廃棄物との分別を徹底するとともに、委託基準を厳格に遵守しなければならない。
 また、安定型最終処分場については、安定型産業廃棄物以外の廃棄物の付着・混入を防止するための仕組みや、浸透水等のチェック機能を強化するなど、適正処理体制の強化を図る必要がある。
 廃棄物の処理基準に適合しない処理に対しては、一般廃棄物については市町村、産業廃棄物については都道府県において、生活環境の保全上の支障が生ずることを未然に防止するため、行政命令を適正かつ迅速に行うとともに、行政命令違反、不法投棄、焼却禁止違反等の行為については、都道府県警察との連携を強化し、厳正に対処しなければならない。
 特に、事業者の責めに帰すべき事由があると認められる産業廃棄物の不適正処理に対しては、事業者に対する措置命令を厳格に行う必要がある。
 なお、法を遵守しない悪質な事業者に対し、法的拘束力を伴わない行政指導を繰り返し、結果としてこのような事業者が営業を継続することを許容してしまうことが、廃棄物処理及び廃棄物行政に対する国民の不信を招く一因となっていることにかんがみ、地方公共団体は、不適正処理等の違反行為を把握した場合には、行政処分を迅速かつ厳正に行うべきである。
 都道府県及び市町村は、廃棄物の不適正処理の早期発見等による生活環境の保全上の支障の発生の未然防止・支障の拡大防止を図るため、新たな技術も活用しつつ、不適正処理に対する監視活動の充実に努めるとともに、関係機関や住民と連携した監視体制の構築を推進するものとする。
 また、国は、地方公共団体における監視活動に対する支援、電子マニフェストの機能向上及び普及拡大、情報通信技術や衛星技術等を活用した不法投棄等の監視に関する新たな技術の開発促進等に取り組むものとする。
4 優良な処理業者の育成
 事業者は、自らの判断により優良で信頼できる処理業者を選定する必要があり、この処理業者の選定を通じた市場競争の中で優良な産業廃棄物処理業者の育成が図られることが基本である。
 国は、このための制度を実施していく上で必要となる産業廃棄物処理業者の能力・実績に関する基準を設定するとともに、適正処理推進センターを活用して、基準に適合する処理業者の情報をインターネットで提供する等の取組を推進することにより、優良な産業廃棄物処理業者の育成に努めるものとする。
5 不法投棄等の不適正処理事案への対応
 廃棄物の不法投棄等の不適正処理が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生ずるおそれがあるときは、原因者等の責任において支障の除去等の措置を行わせることを基本とし、国は、都道府県等に対し、必要に応じて適切な助言等の支援を行うものとする。
 また、不法投棄等の不適正処理が行われたものの、現時点では直ちに支障の除去等の措置を必要としない区域についても、都道府県等は、当該区域の状況等を定期的に把握し、当該区域から新たな支障が生ずることがないよう努めなければならない。
6 廃棄物の輸出入
 廃棄物の輸入については、我が国における処理技術の向上や企業の社会的責任の高まりを受け、途上国では適正処理が困難であるが我が国では処理可能な廃棄物を受け入れて適正に処理する取組が進められている。こうした取組は、広義の排出事業者責任や製造事業者責任を全うするものであり、また、途上国の環境負荷を低減させ、地球環境保全にも資するものであることから、国内における適正処理が確保される限りにおいて、積極的に推進していくものとする。
 また、廃棄物の輸出については、国内処理原則及び排出事業者責任の徹底の観点から厳格な確認を行っているところであり、輸出確認の対象とすべき廃棄物については、引き続き輸出検査時における廃棄物該当性の判断指針の明確化や監視体制の維持・強化等を図る。
四 廃棄物の処理施設の整備に関する基本的な事項
 廃棄物処理施設整備事業の実施に当たっては、廃棄物処理法第五条の三第一項の規定に基づく廃棄物処理施設整備計画に定める目標の達成に向けて重点的、効果的かつ効率的に進めるものとする。
1 今後の要最終処分量と全国的な施設整備の目標
(1) 一般廃棄物処理施設
イ 中間処理施設
 廃棄物の減量化の目標量を達成するため、焼却、脱水等に係る中間処理施設や、再生に係る施設の整備を推進する。
ロ 最終処分場
 平成20年3月31日現在の一般廃棄物の最終処分場の残余容量は1億2202万立方メートルで、残余年数は15.7年である。しかしながら、地域によっては一般廃棄物の最終処分場の残余容量がひっ迫している場合があることにかんがみ、地域ごとに必要となる最終処分場を今後とも継続的に確保するよう整備するものとする。
(2) 産業廃棄物処理施設
イ 中間処理施設
 産業廃棄物の中間処理施設については、本基本方針による廃棄物の減量化の目標年度である平成27年度において必要な処理能力を確保できるよう、その整備を推進する。
 このうち、再生に係る施設については、効率的な立地等にも配慮しつつ必要な施設の整備を推進する。
 また、焼却施設については、地域ごとの発生量のばらつきを考慮しつつ、必要な焼却量を適正に焼却できる処理能力を確保できるよう整備することを目標とする。この際、熱回収が可能な焼却施設の整備を優先するものとする。
 さらに、民間事業者による適正に焼却処理できる施設の更新及び新設による整備を推進しつつ、これらの整備状況を踏まえ、必要な処理能力を確保するため、国として、廃棄物処理センター等の公共関与による施設整備を推進する。
ロ 最終処分場
 産業廃棄物の最終処分場については、産業廃棄物の排出量が経済情勢に左右されることや、再生利用及び減量化の進展により最終処分量が減少傾向にある一方で最終処分場の新たな整備が困難な状況も見られることを考慮し、本基本方針による廃棄物の減量化の目標年度である平成27年度において、要最終処分量の10年分程度を確保できるように整備することを目標とする。
 現状では、民間事業者により整備された最終処分場の施設容量が七割程度、公共関与により整備された最終処分場の施設容量が3割程度となっており、民間事業者による施設の整備を基本として推進しつつ、これらの整備状況を踏まえ、必要な容量を確保するため、国として、廃棄物処理センター等の公共関与による施設整備を推進する。
2 一般廃棄物の減量その他その適正な処理に必要な一般廃棄物処理施設の整備一般廃棄物の減量その他その適正な処理を確保するために創設された循環型社会形成推進交付金制度も活用し、市町村等の自主性と創意工夫を活かしながら、必要な処理施設の整備を推進する。
 具体的には、一般廃棄物の適正な処理体制が確保されるよう、中間処理施設及び最終処分場等の整備に取り組むものとし、特に中間処理については、焼却処理(溶融処理を含む。)、ごみ燃料化処理、高速堆肥化処理、ごみ飼料化処理、メタン発酵処理等の再生や熱回収のための処理方法があり、地域における最適な処理方法を、これらを組み合わせることも含めて選択することが必要である。この際、例えば、メタンを高効率に回収する施設と一定以上の熱回収率を有する廃棄物焼却施設とを組み合わせて、できる限りエネルギーを回収するといった多段階的な利用を含め、効率的な廃棄物系バイオマスの利活用を進める。廃棄物系バイオマスの最終処分場への直接埋立てについては、温室効果の高いメタンの排出を抑制し、地球温暖化対策に資するためにも、できる限り早期に廃止し、地域の特性に応じて、適切な再生利用等を推進する。また、一般廃棄物の焼却処理に当たっては、ごみ発電等の熱回収に積極的に取り組む。
 また、一般廃棄物のうち特にし尿及び生活雑排水の処理については、効率的な汚水処理施設整備を進めるため、地域の特性を踏まえた下水道、農業集落排水施設等との適切な役割分担の下、浄化槽の整備を連携して実施するものとする。し尿処理施設の整備に際しては、メタン回収設備、リン回収設備等の資源化設備を導入するなど、資源の有効利用を図る。
 これらの施設の整備については、発生抑制及び適正な循環的利用を推進するための明確な目標を設定した上で、地域における循環型社会の形成を推進するための総合的な計画となるよう一般廃棄物処理計画を作成して実施することを基本とする。
 また、他の市町村との連携等による広域的な処理は、再生利用が可能な一般廃棄物を広域的に集めることにより再生利用がより容易になる場合があること、ごみ焼却施設の集約化による全連続炉化等により効率的な熱回収が可能となること等の長所があるため、地域の社会的、地理的な特性を考慮した上で適正な施設の規模を確保し、広域的な処理に対応するものとする。
 また、大規模な地震や水害等の災害時には、通常どおりの廃棄物処理が困難となるとともに、大量のがれき等の廃棄物が発生することが多い。そのため、平素より廃棄物処理の広域的な連携体制を築いておくとともに、広域圏ごとに一定程度の余裕を持った焼却施設や最終処分場、がれき等を保管するための災害廃棄物用ストックヤード等を整備しておくことが重要である。
 廃棄物処理施設は、今後、維持管理や更新に係るコストが増大することが見込まれ、かつ、機能面で社会の要請に応えられなくなっていることが懸念される。厳しい財政状況の中で、コスト縮減を図りつつ、必要な廃棄物処理施設を徹底的に活用していくため、いわゆるストックマネジメントの手法を導入し、廃棄物処理施設の計画的かつ効率的な維持管理や更新を推進し、施設の長寿命化・延命化を図る。
 中長期的には、再生利用の推進による焼却量の減量化も踏まえ、必要な中間処理量、最終処分量を予測し、これらに応じて、目標年度以降における適正な施設配置も念頭に置いて、目標年度までの広域的な施設整備を計画するものとする。
3 産業廃棄物の減量その他その適正な処理に必要な産業廃棄物処理施設の整備
 産業廃棄物の減量その他その適正な処理を確保するため、民間事業者による施設の整備を基本として推進しつつ、公共関与による処理施設の整備を含め、必要な処理施設の整備を推進する。
 具体的には、適正な循環的利用の促進を図るため、廃棄物の再生利用等に必要な施設の整備の促進を図る等、再生に係る施設の整備促進を図る。
 また、適正な処理を確保するためには、処理施設の確保が極めて重要であるが、悪質な不法投棄等の不適正処理により産業廃棄物処理に対する地域住民の不信感が増大し、処理施設の設置や運営をめぐる反対もあることから、焼却施設や最終処分場等の処理施設について民間により新たに確保することが極めて困難な状況となっている。処理施設は適正処理の受け皿の要となる基幹施設として極めて重要なものであり、我が国における長期安定的な処理体制の維持のため、安全性を確保しつつ、引き続き適切に整備されることが不可欠であることから、国として、民間による処理体制の確保を基本としつつ、廃棄物処理センター等の公共関与による処理施設の整備を推進する。
 また、産業廃棄物の発生量が大きく、都道府県域を超えて一体的に経済活動が行われている大都市圏においては、大都市圏で震災が発生した場合の大量の廃棄物に備える必要性も勘案し、圏域内での産業廃棄物処理施設の整備を図ることが重要である。このため、広域臨海環境整備センター法(昭和56年法律第76号)に基づく大阪湾広域臨海環境整備センターによる施設整備を引き続き進めるとともに、必要と認められる場合は、その他の大都市圏においても、2以上の都道府県において生じた廃棄物による海面埋立処分については同法の活用を図るとともに、同法の活用が困難な場合は広域的な廃棄物処理センターの活用により、産業廃棄物の処理体制を構築することも検討する。
 産業廃棄物の焼却施設の整備に当たっては、低炭素社会との統合との観点も踏まえ、熱回収が可能な施設の整備を優先するものとする。
 また、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理施設については、当面、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の大部分を占め、迅速な処理体制の確保が必要な高圧トランス等及び汚染物等(ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画に規定する高圧トランス等及び汚染物等をいう。)を処理の対象物の中心として、日本環境安全事業株式会社を活用した、拠点的広域処理施設の整備を進める。さらに、微量ポリ塩化ビフェニル汚染廃電気機器等については、無害化処理認定制度の活用等によりその処理体制の整備を図る。
 廃石綿等の石綿含有廃棄物についても、無害化処理認定制度の活用等によりその処理体制の整備を積極的に進める。
 その他の施設についても、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に規定する特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標を達成するために必要となるコンクリート塊、建設発生木材等の建設廃棄物の処理施設の整備促進を始め、適正処理に必要な施設の確保を促進する。
4 優良な廃棄物処理施設への支援
 国は、税制上の優遇措置、政府系金融機関の融資を通じて、優良な廃棄物処理施設の整備が進められるようにする。さらに、民間事業者が行う地球温暖化対策に資する高効率の廃棄物発電、廃棄物熱供給、廃棄物燃料製造等を行う施設の整備を促進するものとする。
 また、都道府県においても、必要かつ優良な施設の事業者又は産業廃棄物処理業者による整備を促進するため、国とともに、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成4年法律第62号)に基づく施設整備を促進するものとする。
5 地域住民に対する情報公開の促進
 廃棄物処理施設の立地に関する地域住民の信頼を確保し、理解を得ていくためには、施設の立地、処理の方法、維持管理の計画等に関し、情報公開を積極的に行うことが重要である。
 このため、廃棄物処理施設の設置許可に当たり、申請者並びに都道府県及び政令市は、近隣市町村又は利害関係者から提出された生活環境保全上の意見に対する見解を明らかにするよう努めるべきである。
 また、廃棄物処理施設に対する信頼性を高める上で、現在運転中の廃棄物処理施設の維持管理に関する情報や、都道府県及び政令市による定期検査の結果に関する情報を積極的に公開することも重要である。特に、一般廃棄物処理施設の立地に際しては、地域住民自身も廃棄物の排出や処理にかかわる当事者として、十分な関心と理解が求められる。
 さらに、産業廃棄物の多量排出事業者による減量等処理計画については、事業者による自主的な排出抑制、再生利用等による廃棄物の減量化を一層推進するため、都道府県等がインターネット等を利用して公表することが必要である。
 また、都道府県又は市町村は、廃棄物処理業者等に対して行った行政処分の情報をインターネット等を利用して広く公表することが重要である。
五 その他廃棄物の減量その他その適正な処理に関し必要な事項
1 廃棄物処理に関する技術開発及び調査研究の推進
 廃棄物は、その種類に応じ種々の形状及び性質を有し、また、新たな製品開発等に伴い、これまで自然界に存在しない化学物質等を含む廃棄物も排出されてくることとなる。こうした中で、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量化を進めるとともに、多様な廃棄物を生活環境の保全上支障が生じその処理体制の整備を積極的に進める。
 その他の施設についても、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に規定する特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標を達成するために必要となるコンクリート塊、建設発生木材等の建設廃棄物の処理施設の整備促進を始め、適正処理に必要な施設の確保を促進する。
4 優良な廃棄物処理施設への支援
 国は、税制上の優遇措置、政府系金融機関の融資を通じて、優良な廃棄物処理施設の整備が進められるようにする。さらに、民間事業者が行う地球温暖化対策に資する高効率の廃棄物発電、廃棄物熱供給、廃棄物燃料製造等を行う施設の整備を促進するものとする。
 また、都道府県においても、必要かつ優良な施設の事業者又は産業廃棄物処理業者による整備を促進するため、国とともに、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成4年法律第62号)に基づく施設整備を促進するものとする。
5 地域住民に対する情報公開の促進
 廃棄物処理施設の立地に関する地域住民の信頼を確保し、理解を得ていくためには、施設の立地、処理の方法、維持管理の計画等に関し、情報公開を積極的に行うことが重要である。
 このため、廃棄物処理施設の設置許可に当たり、申請者並びに都道府県及び政令市は、近隣市町村又は利害関係者から提出された生活環境保全上の意見に対する見解を明らかにするよう努めるべきである。
 また、廃棄物処理施設に対する信頼性を高める上で、現在運転中の廃棄物処理施設の維持管理に関する情報や、都道府県及び政令市による定期検査の結果に関する情報を積極的に公開することも重要である。特に、一般廃棄物処理施設の立地に際しては、地域住民自身も廃棄物の排出や処理にかかわる当事者として、十分な関心と理解が求められる。
 さらに、産業廃棄物の多量排出事業者による減量等処理計画については、事業者による自主的な排出抑制、再生利用等による廃棄物の減量化を一層推進するため、都道府県等がインターネット等を利用して公表することが必要である。
 また、都道府県又は市町村は、廃棄物処理業者等に対して行った行政処分の情報をインターネット等を利用して広く公表することが重要である。
五 その他廃棄物の減量その他その適正な処理に関し必要な事項
1 廃棄物処理に関する技術開発及び調査研究の推進
 廃棄物は、その種類に応じ種々の形状及び性質を有し、また、新たな製品開発等に伴い、これまで自然界に存在しない化学物質等を含む廃棄物も排出されてくることとなる。こうした中で、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量化を進めるとともに、多様な廃棄物を生活環境の保全上支障が生じ及びその適正な処理が図られるよう、関係者の協力を求めるものとする。
3 その他配慮すべき事項
 廃棄物処理計画の策定に当たっては、国土利用計画法(昭和49年法律第92号)に規定する国土利用計画、国土形成計画法(昭和25年法律第205 号)に規定する国土形成計画、地域の振興又は整備に関する計画及び環境の保全に関する国又は地方公共団体の計画との調和を図るものとする。また、海面埋立処分を行う場合は、公有水面埋立法(大正10年法律第57号)に基づく手続に先立って廃棄物処理法に基づく所要の手続を完了させるものとする。このほか、廃棄物処理計画及び一般廃棄物処理計画を定めるに当たって関係する港湾の港湾計画その他港湾の開発、利用及び保全並びに港湾に隣接する地域の保全に十分配慮する。また、計画の推進に当たっては、交通の安全及び円滑化並びに災害の防止に十分配慮するものとする。